序章 小売業近代化への胎動
1 問題意識と課題の限定
2 時代背景
3 本書の構成
第1章 小売市場の誕生と普及
1 公設市場開設の時代背景
- 1-1 生産調査会の答申
- 1-2 細民の生活実態
- 1-3 錯綜する流通機構と商慣行
2 公設市場の誕生から普及へ
- 2-1 大阪市における日用品供給場の開設
- 2-2 公設市場の普及
3 立ち遅れた東京市の公設市場
- 3-1 公設市場開設への遅れ
- 3-2 恒久的対策への遅れ ― 関東大震災への対応 ―
4 東京市における私設市場ブーム
- 4-1 私設市場の濫設
- 4-2 東京市における私設市場の実相 ― 実態調査から ―
5 結語
第2章 同業組合と百貨店の抗争
1 同業組合とその活動
- 1-1 同業組合法の成立
- 1-2 粗製濫造と同業組合
- 1-3 同業組合と価格協定
2 百貨店の同業組合加入問題とその帰趨
- 2-1 問題の発端
- 2-2 問題の深刻化
- 2-3 百貨店の同業組合加入問題の決着
3 結語
第3章 商店街発行の共通商品券
1 商品券と共通商品券
- 1-1 商品券の誕生
- 1-2 商品券の普及
- 1-3 貨幣類似證券としての商品券
2 商店街商品券の取締り
- 2-1 商店街共通商品券の試み
- 2-2 商店街の共通商品券に対する規制
3 百貨店商品券の取締り要求運動
- 3-1 百貨店商品券包囲網
- 3-2 百貨店商品券の撤廃運動
- 3-3 商品券への課税問題
- 3-4 小売商の経営改善の取り組み
4 商品券取締法の制定
- 4-1 商品券に対する当局の態度
- 4-2 商品券取締法の審議経過
- 4-3 商品券取締法の施行
- 4-4 商品券の流通
5 商店街共通商品券
- 5-1 商業組合法の成立と共通商品券問題
- 5-2 商業組合法の改正(1938年)
- 5-3 商店街共通商品券の現実
6 結語
第4章 商業組合と商店街商業組合
1 昭和戦前期の小売業と公共政策
- 1-1 小売業に対する公共政策の考え方
- 1-2 商店街の概要
2 商業組合法
- 2-1 商業組合法の成立
- 2-2 先駆的商店街商業組合の設立
- 2-3 商業組合法の改正
3 商店街商業組合の活動
- 3-1 商店街商業組合の定款事業
- 3-2 商店街商業組合の実際の活動
4 商店街リーダーの考え方 ― 中村金次郎の世界 ―
- 4-1 中村金次郎の現状認識
- 4-2 商店街は「横の百貨店」であるべきか
- 4-3 商店街の経営構造
- 4-4 商店街商業組合の限界
- 4-5 商店街商業組合連合会の役割
5 結語
第5章 ボランタリーチェーンの模索
1 ボランタリーチェーンの日本への紹介
2 乱売対策として注目されたボランタリーチェーン
- 2-1 大量生産体制の確立と過剰生産
- 2-2 過剰生産へのメーカーの対応
3 メーカー主導のチェーンストア
- 3-1 ホシ連鎖店
- 3-2 資生堂チェインストアー
- 3-3 福助足袋聯盟店
- 3-4 森永ベルトライン
- 3-5 瓢箪屋薬房SS
4 メーカー主宰のボランタリーチェーン:総括
- 4-1 ボランタリーチェーンという名の系列化
- 4-2 ボランタリーチェーンに乗せた製販連携の夢
5 小売商の自力更生策としてのボランタリーチェーン
- 5-1 小売店共同化の背景
- 5-2 全東京洋品聯盟
- 5-3 大東京文具商チェーン聯盟
- 5-4 大東京履物商チェーン
- 5-5 紅白会
- 5-6 赤星靴チェーン
- 5-7 十合特約チェーンストアー
6 小売主宰のボランタリーチェーン:総括
- 6-1 唯一の更生策としての期待と現実
- 6-2 進歩的チェーンの特徴
- 6-3 大都市に限定されたボランタリーチェーン
7 結語
第6章 産業組合と商権擁護運動
1 産業組合と初期の反産運動
- 1-1 産業組合法の成立
- 1-2 農村の疲弊
- 1-3 政府の農村支援政策
- 1-4 産業組合拡充5ヶ年計画
2 反産運動の全国的展開
- 2-1 過剰参入による商業の疲弊
- 2-2 反産運動の過熱
- 2-3 反産運動から商権擁護運動へ
3 商権擁護運動を巡る係争点
- 3-1 両者の主要な主張点
- 3-2 係争点を巡る第三者の見解(1)― 学界 ―
- 3-3 係争点を巡る第三者の見解(2)― マスコミ ―
- 3-4 反産運動に対する政府の態度
4 商権擁護運動の挫折と終息
- 4-1 商権擁護運動の挫折
- 4-2 その後の産業組合
5 結語
第7章 商業労働と使用人問題
1 工場法と鉱業法
2 商店法をめぐる国際環境
- 2-1 先進諸国での商店法の実情
- 2-2 国際労働総会の勧告等
3 商店法案の模索
- 3-1 商店法制定運動前史
- 3-2 小売業の営業事情
- 3-3 業界からの陳情
- 3-4 商店法案に向けた初動
- 3-5 揺れる賛否両論
4 商店法の成立
- 4-1 商店法案の再構築
- 4-2 商店法案の評価
- 4-3 商店法案の上程と審議
- 4-4 商店法の効果
5 結語
第8章 百貨店法の成立 ― 調整政策の誕生 ―
1 百貨店の成長と小売商との対立
- 1-1 近代的百貨店の誕生と普及
- 1-2 百貨店対中小小売商問題の時代背景
2 反百貨店運動の高まり
- 2-1 戦後恐慌に始まる百貨店の大衆化
- 2-2 百貨店の震災復興と反百貨店運動の盛り上がり
3 百貨店の拡張と百貨店間競争の過熱
- 3-1 百貨店の拡張
- 3-2 百貨店間の「過当競争」
- 3-3 百貨店の出張販売
4 百貨店問題と小売業度改善案
- 4-1 商工委員会「小売制度改善案」への反発
- 4-2 小売制度改善案に対する評価
5 中小小売商の困窮
- 5-1 百貨店の重圧率
- 5-2 中小小売商の実情
6 百貨店法の制定
- 6-1 百貨店の自制協定
- 6-2 百貨店自制協定の破綻
- 6-3 百貨店法の制定過程
- 6-4 百貨店法の成立
7 結語
終章 簡単な総括
1 改めて「大正・昭和戦前期」という時代
2 本書のごく簡単な振り返り
3 結びに代えて
あとがき
索引