[新訳]事業の定義 戦略計画策定の出発点

デレク・F・エーベル(著)
石井淳蔵(訳)

事業や競争すべき市場をどのように定義するか等、ケースを用いてその基本概念を説明した名著の新訳。
訳者からのメッセージ
本書は、エーベルとハモンドが書いた『戦略市場計画』と共に、1980年代以戦略論の発展の母体となりました。「事業とは何か」を考えることの大事さを伝える出発点となった本でもあります。本書に掲載されているケースは、戦略策定における考え方を示すよいケースであり、今でもわれわれが直面する課題です。また、本書に書かれている事業定義の考え方や手法についてのまとめも、戦略を考える多くの方に、何を考えなければならないのか、何に留意しないといけないのか、未だに重要な示唆や触発を与えることを確信しています。本書が、新たな戦略発想の糧になることを期待してやみません。

発売日:2012年2月24日
ISBN:978-4-502-69250-5
定価:3,740円
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電子書籍版あり

目次

I部 予備的考察

第1章 事業定義の問題
  1. 戦略上の問題点
  2. 組織と計画策定の問題点
  3. 概念上の問題
2章 従来の理論からの手がかり
  1. 事業定義の概念化
  2. 事業定義の変化の概念化
  3. 事業定義に影響を与える要因
  4. 複数レベルでの定義戦略
  5. 市場定義と市場境界定義との関係
  6. 市場境界の再定義

II部 実践での事業定義

第3章 顧客機能の違い
―コンピュータ周辺機器
  1. 会社の沿革
    • IBM社のマーケティングの方法
    • IBM360シリーズ
    • IBM370シリーズ
  2. PCM競争とIBM社の対応
    • クーリー氏を長とするタスク・フォース
    • 条件固定化計画(the Fixed Term Plan; FTP)
    • スマッシュ(SMASH)プログラム
    • ディスク・ドライブにたいするスマッシュの提案
    • メモリー・システムのためのスマッシュの提案
    • 法律上の展開
  3. 解説
    • IBM社が直面した戦略策定
    • IBM社の初期の事業定義とPCM各社の事業正義の比較
    • PCM競争にたいするIBM社の対応
    • 業績,ならびに事業定義に影響を与える要因
    • 市場境界の定義と市場占有率の測定
  4. 用語解説
第4章 顧客機能と顧客層の違い
―自動金銭出納機(ATM)
  1. 会社の沿革
  2. 米国の金融取引システム機械の市場
    • 自動金銭出納機(ATM)
    • POS機械
    • オンライン金銭出納ターミナル
    • EFTS採用に影響を与える要因
    • 政府規制
    • 銀行間の競争
    • 消費者の人気
  3. ドキュテル社のATM事業
    • 製造
    • サービス体制
    • 製品開発とエンジニアリング
  4. 競争
  5. 将来についての経営者の展望
    • 「支配」戦略
    • 「準支配」戦略
    • 「維持」戦略
  6. 解説
    • ドキュテル社が直面した戦略決定
    • ATM事業についてのドキュテル社の定義と競合各社の定義の比較
    • 競争の新しい局面にたいするドキュテル社の対応
    • 業績と事業定義に影響を与える要因
    • 市場境界の定義と市場占有率の測定
5章 顧客機能と顧客層と技術の違い
―CTスキャナー
  1. 画像診断
  2. 画像診断装置の顧客
  3. コンピュータ断層撮影法(Computerized tomogra-phy: CT)
    • CT市場の人気
    • CTスキャナーの競合各社
    • CTスキャナーの製造とマーケティングの必要条件
    • CT市場の未来
  4. 解説
    • CTの競合各社が直面する戦略決定
    • 事業の定義の比較
    • 業績と,事業定義に影響を及ぼす要因
    • 市場境界の定義と市場占有率の測定
第6章 複数レベルでの事業定義
―林業用スキッダー
  1. ティンバージャック社の背景
  2. 林業用機械と森林作業
    • 製造
  3. 林業用機械の顧客とその購買行動
  4. 林業用機械産業の発展の歴史
    • 1956年以前
    • 新しい産業の誕生:1956年 – 1960年
    • 採用の期間:1960年 – 1963年
    • 新規参入と成長の期間:1964年 – 1966年
    • 競争の場の拡大:1966年 – 1970年
    • 1970年代:経済的変化への対処
  5. 解説
    • ティンバージャック社が直面した戦略決定
    • 事業定義の比較 – 一般産業機械
    • 事業定義の比較 – 林業用機械
    • 事業定義の比較 – スキッダー
    • 業績と事業定義に影響を及ぼす要因
    • 市場占有率を測定する際の市場境界の定義

III部 新理論とその拡張

第7章 事業定義の理論
  1. 3次元での事業定義概念と2次元での事業定義
    • 概念
    • 顧客層と顧客機能と技術の範囲
    • セグメント間の差別化と競合各社間の差別化
    • 事業定義の類型
  2. 事業定義の変化
  3. 事業定義に影響を及ぼす要因
    • 全体アプローチ vs. 増分アプローチ
    • 有効性の戦略と効率性の戦略
    • 考慮すべき基本要因
  4. 複数のレベルでの事業定義
    • 全社的定義,製品・市場戦略,そしてポジショニング
  5. 事業定義と全体事業戦略
第8章 市場境界定義の理論
  1. 市場の分類
    • タイプIの市場
    • タイプIIの市場
    • タイプIIIの市場
    • タイプIVの市場
    • タイプVの市場
    • 技術次元
  2. 市場占有率の意味と測定
    • 競合各社の事業定義が類似しているとき
    • 競合各社の事業定義が異なるとき
  3. 供給者集中度の意味と測定
    • タイプIの市場
    • タイプIIの市場
    • タイプIIIの市場
    • タイプIVの市場
  4. 製品差別化の意味と測定
  5. 市場発展,市場境界の再定義,そして製品ライフサイクル
  6. 会社の発展と市場の発展
    • 既存会社による事業定義の変更
    • 参入と退出
  7. 3次元枠組の応用可能性

IV部 実践上のインプリケーション

第9章 戦略策定のためのインプリケーション
  1. 既存事業の明示的な定義
  2. 新規参入の定義
    • パイオニアとしての参入
    • 成長市場への参入
    • 成熟市場への参入
  3. 事業定義と戦略の他の要素との関係
    • 事業定義と目的の関係
    • 事業定義と機能分野別戦略との関係
  4. 事業定義の競争性の評価
第10章 組織と計画策定のためのインプリケーション
  1. 組織上の問題
    • 事業単位とプログラム単位と資源単位
    • 3次元枠組を配慮した組織戦略
    • 事業とプログラムを組織的に定義するための実践的ステップ
    • 分解ステップ
    • 分解の分類
  2. 計画策定上の問題
    • 計画策定のための組織分割
    • 公式的計画策定方法の利用
    • 計画策定のプロセス

[新訳] 事業の定義』の翻訳を終えて

索引

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