百貨店のビジネスシステム変革

新井田剛 (著)

仕入をしない小売業
生き残りをかけた改革の軌跡を詳細分析
日本の百貨店業界に深く根づいている委託仕入れ・売上仕入れという日本独特の取引先との分業と、それに対して大丸が行なってきた10余年におよぶ改革への取り組みを通して課題を明らかにする。
【POD版もあります】

発売日:2010年4月20日
ISBN:978-4-502-67440-2
定価:4,620円
amazon
電子書籍版あり

目次

第1章 はじめに:本書の問題意識と構成
  • 1-1 はじめに「仕入れをしない小売業」
  • 1-2 問題意識
    • 1-2-1 百貨店の凋落に対する委託仕入れへの批判の検討
    • 1-2-2 委託仕入れに対する擁護説の検討
    • 1-2-3 委託仕入れに対する新たな視点からの検討
  • 1-3 方法論的特長
  • 1-4 本書の構成
第2章 ビジネスシステムとアウトソーシング
  • 2-1 ビジネスシステムについての文献レビュー
  • 2-2 アウトソーシングとコアコンピタンス
    • 2-2-1 アウトソーシングの流れ
    • 2-2-3 コアコンピタンスのアウトソーシング
  • 2-3 分業における知識の役割についての文献レビュー
    • 2-3-1 知識の境界線
    • 2-3-2 部品知識と統合知識
  • 2-4 小括
第3章 百貨店における委託仕入れの検討
  • 3-1 買取り仕入れから委託仕入れへの流れ
  • 3-2 アパレル製造卸企業における委託仕入れ制度の定着
  • 3-3 百貨店における委託仕入れ制度の定着
  • 3-4 委託仕入れ制度のメリット
  • 3-5 委託仕入れ制度の機能不全から売上仕入れへ
  • 3-6 百貨店のコアコンピタンスの変化
    • 3-6-1 時間の視点からの検討
    • 3-6-2 アウトソーシングの視点からの検討
  • 3-7 仕入れとは何か
  • 3-8 小括
  • 3-9 本書における課題
第4章 1990年代の百貨店の生き残りをかけた取り組み
  • 4-1 はじめに
  • 4-2 1990年代の百貨店の状況
  • 4-3 1990年代の百貨店の戦略における3つの方向性
    • 4-3-1 岩田屋の挑戦
    • 4-3-2 店長制の導入
    • 4-3-3 完全買取り制の導入
    • 4-3-4 伊勢丹の改革の方向性
    • 4-3-5 マーチャンダイジングへの集中
    • 4-3-6 自主売場の強化
    • 4-3-7 バーニーズニューヨークとの提携とバイヤーの出向
  • 4-4 小括
第5章 改革までの取り組み 守りの改革から攻めの改革へ
  • 5-1 はじめに
  • 5-2 改革までの取り組み
    • 5-2-1 大丸の中期計画に見る戦略の方向性
    • 5-2-2 第1次営業改革前の取組み バブル崩壊と「構造改革」
    • 5-2-3 大丸における課題の認識
  • 5-3 改革のスタート
    • 5-3-1 守りの改革
    • 5-3-2 非採算事業・店舗の撤退と閉鎖
    • 5-3-3 早期退職の実施
    • 5-3-4 攻めの改革
    • 5-3-5 平成11年〜13年中期経営計画の策定
    • 5-3-6 中期計画における最重要の取り組み「営業改革」
  • 5-4 奥田氏の合理的経営志向の背景とこだわり
  • 5-5 山本氏の現場へのこだわりと徹底したコミュニケーション
  • 5-6 小括
第6章 百貨店のビジネスシステムの再構築「第1次営業改革の事例」
  • 6-1 はじめに
  • 6-2 変革のビジョン
  • 6-3 標準化への取り組み
  • 6-4 「店頭業務の再設計」:内部組織の変革(1)
    • 6-4-1 店頭業務の現状認識と課題
    • 6-4-2 業務の顧客視点による価値分類
  • 6-5 業務の方向性
  • 6-6 「接客パターンによる売場分類」:内部組織の変革(2)
    • 6-6-1 接客変革の背景
    • 6-6-2 4つの接客パターン分類
    • 6-6-3 接客パターン別販売業務基準書
  • 6-7 「売場運営形態別アプローチ」:企業間関係の変革
    • 6-7-1 売場運営形態別アプローチ
    • 6-7-2 売場運営形態別業務規定書とその他のマニュアル
  • 6-8 モデル売場でのスタート
  • 6-9 見える化に関する先行研究
  • 6-10 標準作業
  • 6-11 第1次営業改革と見える化
  • 6-12 小括
第7章 組織内部における情報獲得の仕組み構築
  • 7-1 はじめに
  • 7-2 新MD情報システムの導入:組織内部情報の獲得(1)
    • 7-2-1 新MD情報システムの目的
    • 7-2-2 新MD情報システム導入にあたっての整理
    • 7-2-3 新MD情報システム設計の考え方
    • 7-2-4 3つの管理体系
  • 7-3 販売機能としての「売場分類」
    • 7-3-1 売場分類と組織体系を整合させるための考え方
    • 7-3-2 売場分類を構築する指標
    • 7-3-3 販売機能の計画・管理体系の内容を具体化するステップ
  • 7-4 「商品分類」の計画・管理体系の概念と具体化のステップ
  • 7-5 「仕入機能」の管理
  • 7-6 売場分類・商品分類と売場運営形態の整合
  • 7-7 業務規定書に応じた活用例
  • 7-8 新顧客情報システム:組織内部情報の獲得(2)
  • 7-9 小括
第8章 「カスタマーズ・ビュー」への取り組み 組織内部情報の獲得(3)
  • 8-1 はじめに
    • 8-1-1 カスタマーズ・ビュー誕生の経緯
    • 8-1-2 梅田店での活動と成果
    • 8-1-3 梅田店から全社への取り組みへ
    • 8-1-4 カスタマーズ・ビュー宣言
    • 8-1-5 他社の取り組み
    • 8-1-6 カスタマーズ・ビューの仕組み
  • 8-2 カスタマーズ・ビュー開発事例(1)「リクルートバッグ」
  • 8-3 カスタマーズ・ビュー開発事例(2)「施設」「サービス」
  • 8-4 定性的情報収集の役割
  • 8-5 カスタマーズ・ビューの限界
  • 8-6 小括
第9章 自主運営売場への取り組みと情報 外部からの情報の獲得
  • 9-1 はじめに
  • 9-2 外部ディレクターの導入「ヴィアモンド」の事例:外部からの情報獲得(1)
    • 9-2-1 「ヴィアモンド」の概要と開発の経緯
    • 9-2-2 「ヴィアモンド」の開発体制
    • 9-2-3 組織体制
    • 9-2-4 外部人材の業務内容「外部ディレクター」
    • 9-2-5 VMD担当企画会社
    • 9-2-6 店頭情報のフィードバック
    • 9-2-7 外部人材導入のメリットとデメリット
  • 9-3 ワールド・大丸共同開発売場:外部からの情報の獲得(2)
    • 9-3-1 共同開発売場「エッシュ」の概要
    • 9-3-2 「エッシュ」のビジネスモデル
    • 9-3-3 組織体制
    • 9-3-4 外部企業との共同運営
    • 9-3-5 共同売場開発におけるワールド側のメリット
    • 9-3-6 外部企業との共同運営における大丸の効果
    • 9-3-7 情報の質と広がり
  • 9-4 バイヤー・販売員の外部研修:外部からの情報の獲得(3)
    • 9-4-1 バイヤー研修
    • 9-4-2 販売員研修
  • 9-5 ノードストロームとの提携:外部からの情報の獲得(4)
    • 9-5-1 ノードストロームのプライベートブランドの導入
    • 9-5-2 ノードストロームへのバイヤー派遣
  • 9-6 小括
第10章 第1次営業改革導入時の葛藤 合理性と非合理性の狭間
  • 10-1 はじめに
  • 10-2 改革そのものに対する現場の抵抗
  • 10-3 モデル部門での取り組み
    • 10-3-1 モデル部門の改革を進める上での「推進力」
    • 10-3-2 モデル部門での取り組みにおける課題
    • 10-3-3 ポイントサポート売場の承り体制の課題と対策
    • 10-3-4 マネージャー研修での課題抽出と検証作業
    • 10-3-5 小括
第11章 第1次営業改革の成果「大丸札幌店の出店」
  • 11-1 はじめに
  • 11-2 数値的成果
    • 11-2-1 売上、営業利益率の推移
    • 11-2-2 販売管理費の推移
    • 11-2-3 人員の推移
  • 11-3 第1次営業改革の集大成『大丸札幌店の成果』
    • 11-3-1 出店の経緯
    • 11-3-2 出店の考え方
    • 11-3-3 店づくりのコンセプトと営業基本政策
  • 11-4 マーケティング
    • 11-4-1 競合状況
    • 11-4-2 地域への浸透策
    • 11-4-3 ターゲットの設定
    • 11-4-4 マーチャンダイジング
    • 11-4-5 環境・販売・サービス
  • 11-5 オペレーションにおける基本戦略
    • 11-5-1 組織の考え方
    • 11-5-2 札幌流オペレーションの構築
    • 11-5-3 札幌店の業務運営ルール
    • 11-5-4 札幌店流オペレーションを支える店舗環境
  • 11-6 小括
第12章 新たな課題と第2次営業改革への取り組み
  • 12-1 はじめに
  • 12-2 大丸リグロースプランと改革の踊り場
    • 12-2-1 第1次営業改革第2ステージ
    • 12-2-2 経営マネジメント改革
    • 12-2-3 大丸リグロースプラン
  • 12-3 ビジネスシステムの変革:企業間関係の再構築
    • 12-3-1 第2次営業改革の目的と重点課題
    • 12-3-2 大丸と取引先の役割の変革 〜運営形態別戦略の変革〜
  • 12-4 本社と店の役割の変革
  • 12-5 企業間関係、組織内関係のマネジメントを支える組織体制
  • 12-6 社内における分業への取り組み
  • 12-7 セントラルバイイングへの取り組み
  • 12-8 販売サービスの革新
  • 12-9 第2次営業改革における情報の活用
    • 12-9-1 社外との情報共有
    • 12-9-2 組織内情報の共有
  • 12-10 第2次営業改革の現状の成果
    • 12-10-1 ステップ別売上実績
    • 12-10-2 部・グループ別売上
  • 12-11 第2次営業改革導入時の葛藤
    • 12-11-1 オペレーション上の成果と課題
    • 12-11-2 マーチャンダイジング上の成果と課題
  • 12-12 第2次営業改革の軌道修正
    • 12-12-1 第2次営業改革の取り組みの修正
    • 12-12-2 第2次営業改革の再構築から新百貨店モデルへ
  • 12-13 小括
第13章 結論とインプリケーション
  • 13-1 本書のまとめ(1) 仕組み化への取り組み
  • 13-2 本書のまとめ(2) アウトソーシングにおける内部と外部のマネジメントの相互作用
    • 13-2-1 見える化への取り組み 〜社内業務におけるブラックボックスの解明〜
    • 13-2-2 見える化からアウトソーシングのマネジメントへ
    • 13-2-3 アウトソーシングにおける「任せて任せない」関係の構築
    • 13-2-4 社内分業の複雑化
  • 13-3 本書のまとめ(3) アウトソーシングと情報のマネジメント
    • 13-3-1 営業改革での仕組み化と知識獲得の相互作用
    • 13-3-2 マーチャンダイジングの標準化と情報の流れ
    • 13-3-3 オーバーラップした情報の獲得 〜戦略的なムダへの取り組み〜
  • 13-4 本書のまとめ(4) アウトソーシングと百貨店のコアコンピタンスの変化 〜「仕入れをしない小売業」
    • 13-4-1 百貨店解体とコアコンピタンスの再構築
    • 13-4-2 新たなコアコンピタンスの可能性
    • 13-4-3 新たなコアコンピタンスを支えるメタ知識の獲得
  • 13-5 本書のまとめ(5) 大丸の営業改革と3つの課題
    • 13-5-1 見える化と創意工夫の罠
    • 13-5-2 取引先のマネジメントと知識獲得のジレンマ
    • 13-5-3 情報の獲得と活用における課題
  • 13-6 本書のまとめ(6) 仕組み化を推進する力
    • 13-6-1 改革を推進する力(1) 合理性の追求
    • 13-6-2 改革を推進する力(2) シンプルであること
    • 13-6-3 改革を推進する力(3) 徹底してやりきる力
    • 13-6-4 改革を推進する力(4) 先義後利と風土改革
    • 13-6-5 改革を推進する力(5) 健全な危機意識の醸成
    • 13-6-6 合理性と非合理性の融合による改革の推進
  • 13-7 インプリケーションと今後の課題
    • 13-7-1 理論的インプリケーション
    • 13-7-2 実践的インプリケーション
    • 13-7-3 今後の課題

索引

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